アルテ・ピナコテークで見ることができる名画を紹介

アルテ・ピナコテークで見ることができる名画を紹介

 

アルテ・ピナコテーク(独: Alte Pinakothek、旧絵画館)はドイツの国立美術館で、バイエルン州ミュンヘンに位置しています。この美術館は世界でも最古の部類に属する公共美術館で、もとはバイエルン王家ヴィッテルスバッハ家の収蔵品を市民を対象に展示する目的で作られました。

 

コレクションは中世からバロック期にかけての作品が中心で、隣接するノイエ・ピナコテークやピナコテーク・デア・モデルネとともにバイエルンの一大コレクションを形成しています。

 

「ピナコテーク」という単語はギリシア語に由来しており、「絵画の収蔵所」という意味を持ちます。この美術館は19世紀にルートヴィヒ1世(在位1825年-1848年)が設立しました。彼は建築家レオ・フォン・クレンツェ(1784-1864)に設計を命じ、1826年に起工、1836年に絵画館が開館しました。
建物は第二次大戦で被害を受けましたが、戦後に復興し、1957年に再開しています。

 

デューラー『四人の使徒』

 

作品名 四人の使徒
作者 アルブレヒト・デューラー
制作年代 1526年
寸法 204 cm × 74 cm

 

アルブレヒト・デューラーの『四人の使徒』は、ルネサンス期のドイツの巨匠が制作した板上の油彩画で、1526年に完成しました。この作品は、福音記者ヨハネとペテロ(左側のパネル)、マルコとパウロ(右側のパネル)を描いています。

 

この作品は、人間の四つの気質を象徴していると言われています234。それぞれの使徒は、以下のように四大気質に関連付けられています。

 

  • 聖ヨハネ:多血質
  • 聖ペテロ:粘液質
  • 聖マルコ:胆汁質
  • 聖パウロ:憂鬱質

 

また、この作品は宗教改革期に制作され、その多くの側面は宗教改革に照らして重要であることが証明されています。デューラー自身が「敬神の人」として、偽予言者や偽善家の出現を警告する新約聖書からの引用文を使徒たちの足元に記しています。

 

デューラー『自画像』

 

作品名 自画像
作者 アルブレヒト・デューラー
制作年代 1500年
寸法 67.1 cm × 48.9 cm

 

アルブレヒト・デューラーの『自画像』は、1500年に制作された作品で、当時28歳だったデューラー自身を描いています。この作品は板上に油彩で描かれており、デューラーが生涯にわたり素描、油彩で複数の自画像を描いている中で、油彩画としては3点目の作品です。

 

この作品では、デューラーが正面を向いて描かれています。このような正面向きの図像はイエス・キリストのイメージ、「ヴェラ・イコン」を表すためのものであったとされています。実際、本作が「救世主キリスト」の図像に倣っていることは初期フランドル派の画家たちやドイツの先達マルティン・ショーンガウアーの作例と比べてみれば明らかです。

 

また、デューラーは自らを「苦難のキリスト」として描いた晩年の素描にも示されているように、自らを「キリストに倣って (Imitario Christi)」生きよう、その苦難を自らも負い、耐え忍ぼうという宗教的信念を持っていました。そのような宗教的信念があってこそ、本作のような「自画像」の構想が生まれ、正当化されたと考えられます。

 

アルブレヒト・アルトドルファー『アレクサンダー大王の戦い』

 

作品名 アレクサンダー大王の戦い
作者 アルブレヒト・アルトドルファー
制作年代 1477年頃
寸法 135x135cm

 

アルブレヒト・アルトドルファーの『アレクサンダー大王の戦い』は、1529年に制作された油絵で、紀元前333年のイッソスの戦いを描いています。この絵は、アレクサンダー3世がダレイオス3世率いるペルシャ軍に大勝した様子を描いています。

 

この絵は、それまでの歴史の前例にないほど雄大な光景が描かれており、アルトドルファーの代表作として知られています。また、この絵はヨーロッパ諸国とオスマン帝国との戦争をアレクサンダーの英雄的な勝利と結びつけたものだと考えられています。

 

特に第一次ウィーン包囲でのスレイマンの敗北はアルトドルファーに大きな着想を与えたとされています。また、宗教的な背景は特にこの異様な空に描かれており、これはダニエル書の予言と差し迫った黙示録に触発されたと推測されています。

 

ブーシェ 「ポンパドゥール夫人の肖像画」

 

作品名 ポンパドゥール夫人の肖像画
作者 フランソワ・ブーシェ
制作年代 1758年
寸法 201 cm × 157 cm

 

フランソワ・ブーシェが描いた『ポンパドゥール夫人の肖像画』は、1756年に制作された作品で、ルイ15世の愛人であったポンパドゥール侯爵夫人を描いています。

 

この肖像画では、彼女が豪華な刺繍と飾りの袖口を持つクリーム色の室内着をまとっています。首にはひだ飾り、胸を魅力的に見せているドレスは造花や真珠で飾られています。彼女の周囲には、ロココ期の優雅な曲線を描く猫足の家具、彼女の教養の高さを示す本や楽器などが配されています。

 

特に注目すべきは、彼女が身につけている衣装です。その衣装に見られる優雅で美しい「ピエス・デストマ」「アンガジャント」などが特徴的です。また、足元には可愛らしいデザインの履き物、ミュールが描かれています。